時計

インキピオ8 魅惑のロレックス エクスプローラー1 1016のオマージュウォッチ

当時、アンティークウォッチのバイブル雑誌ともいうべき存在だった時計ビギンの企画でシリーズ化されたインキピオ。

懸賞に当たった人だけが購入権を得るという企画もさることながら、次々にシリーズ化されるモデルがいずれも本物には手が届かないが雰囲気を堪能できる秀逸なモデルとして人気を博しました。

応募券がページの端にあったことから、そこをもぎ取ってしまうプチ万引きともいうべきものが横行し、以降応募券はページの中央に配置されるようになるほどの人気ぶりでした。

時代は90年代。バブル絶頂期の80年代ならプレゼントだったかもしれませんが、バブル崩壊以降なので購入権が当たるという建付けになったのかもしれません。

しかし、毎回当たらなかった涙。限定200本か300本だったと思います。当時、ビギンはエクスプローラー1の1016の特集が何度も掲載されました。当時の相場が50~60万前後で20代の私には手が届かず、30万前後だったサブマリーナ1680で手を打ちました。

それから数年後、インキピオはヤフオクでバンバン出品されました。意外にもプレミアムは付かず、一番人気の8(EX1の1016モデル)でさえ最安落札価格は19千円だったと記憶しています。

私はEX2の1655モデルのインキピオ9を38,000円で落札しました。試着のみということでしたが風貌は傷だらけで、研磨に持ち込んだ時計屋曰く、屋外に持ち出さなかっただけで室内で普通に使ってたんじゃないの。明らかに使用傷だよと。

これがトラウマとなってヤフオクでインキピオに手が出せなくなり、いつしか出品をチェックすることもなくなりました。

あれから20年。時計の買い替え双六にはまってしまった私は、自分のゴールは何なのか自問自答しました。それは20年来欲しかったエクスプローラ1の1016ではないかと気づいたときには相場は130万~。あのとき買っておけばと後悔しても後の祭り。

それではと探し始めたインキピオ8でしたが、意外にもまだプレミアムは僅かで。新品未使用のデッドストックを30,500円で落札できました。時計ビギンの当時の価格が29,800円ですからほぼ同価格。9の顔つきはチープな印象でしたが8の完成度は満足のいく出来栄えです。

この後、念願のエクスプローラ1の1016を購入することになるのですが、インキピオ8の満足度は高く、手放す気にはなれません。エルジンやZENOウォッチバーゼルのオマージュウォッチにも手を出しましたが、インキピオ8を超える満足感を得られるものはありませんでした。

高騰を続ける本家の1016の後を追うようにインキピオ8の価格も上昇傾向にありますが、どちらも生産終了してタマ数は減ることはあっても増えることは無いなかで、根強い人気が需給バランスを押し上げています。そもそもインキピオ8は限定200本だったと思います。現在も時計としての機能を維持する個体が幾つ残っているか分かりませんが、その一本を手にした満足感はある意味で本家の1016並みです。なので、もったいなくて使えないというジレンマはあります。。。

興味をそそる時計は数あれど、それを買うか買わないかの最後の決め手は愛着がわくか否かで判断しています。そうでなくても短期で買い替えを続けているので、長く持てそうなものを選びたいと思っています。そういう意味でエクスプローラ1016とインキピオ8は甲乙つけがたいですがコスパで見ればインキピオ8でしょう。1016は高騰しすぎました。

1016を所有するいま、インキピオ8を持つ意味はあるのかと問えば、あると思っています。1016と似て非なるものだからです。インキピオはオマージュウォッチとしての枠を超え、ブランドとしての価値を確立しているようにも思えます。もちろん本家あってのインキピオではありますが、その時計を持つ満足感を与えてくれるインキピオは単なる模倣品ではありません。時計好きが認める時計好きが生み出したコレクターズウォッチと言ってよいと思います。